現地集合・直行直帰が当たり前の不動産営業は、勤怠の記録がいちばん崩れやすい職種です。そこへ外回りの交通費や駐車場代の精算が重なり、締め日のたびに管理部門が追いかける——よくある光景ではないでしょうか。AIを使えば入力や確認の手間は大きく減らせますが、労働時間をどう扱うかと、領収書をどう保存するかは、法令で決まっている部分。本記事では、システムの入れ替えを検討する前に、いま使っているAIでどこまで手間を減らせるかを整理し、あわせて「AIに任せてはいけない判断」を条文で線引きします。
不動産会社の管理部門・経営者向けです。労働時間の記録は 厚生労働省のガイドライン(平成29年1月20日策定)と 労働基準法・労働安全衛生法、経費の保存は 国税庁 の資料で確認しています。本記事は一般的な整理であり、個別の判断は社会保険労務士・税理士や所轄の労働基準監督署・税務署にご確認ください。特定の製品・サービスの比較は行いません。なお、本記事は社会保険労務士・税理士の監修を受けたものではなく、公表されている法令・通達・国税庁資料を確認して整理したものです。
勤怠と経費でAIが効くのは、「入力」と「不備の洗い出し」です。日報から勤怠のたたき台を作る、打刻漏れを指摘させる、領収書の内容を整理させる——ここは任せられます。一方で、その時間を労働時間として扱うかの判断、記録の確定と保存は、法令が事業者に求めているもの。この線引きさえ守れば、締め日の作業はかなり軽くできます。
勤怠の記録方法、保存年数、AIに任せてよいこと/人がやること、領収書の読み取りの注意点を1枚にまとめました。
他業種と比べて、不動産の勤怠管理には固有の事情があります。仕組みの話に入る前に、どこが崩れるのかを並べておきます。
| 不動産に多い働き方 | 勤怠で起きること |
|---|---|
| 現地集合・直行直帰 | 始業・終業の時刻が会社側で確認できない。申告頼みになりやすい |
| 土日出勤と平日定休 | 週の起算や振替の扱いが人によって違ってくる |
| 繁忙期(1〜3月)の偏り | 特定の時期だけ時間外が集中し、申告が実態と乖離しやすい |
| 内見の合間の待機時間 | 労働時間に当たるかどうかの判断が現場任せになりがち |
| 外回りの立替払い | 交通費・駐車場代・手土産代などの領収書が締め日にまとめて出てくる |
いちばん多い誤解がここです。労働時間の全部または一部を事業場外で従事し、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす制度があります(労働基準法38条の2)。ただし、これは「記録しなくてよい」という意味ではありません。
労働基準法38条の2は、第1項本文で「所定労働時間労働したものとみなす」としていますが、同項ただし書きで、その業務の遂行に通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなすと定めています。さらに同条2項は、労使協定があるときはその協定で定める時間とする旨を規定しています。つまり、みなし時間が法定労働時間を超えれば、時間外労働の割増賃金が発生します。深夜労働・休日労働の割増賃金や休憩の規定も、別途適用されます。
条文が求めているのは「労働時間を算定し難いとき」という要件です。行政通達(昭和63年1月1日 基発第1号・婦発第1号)は、これに該当しない例として次の3つを挙げています。①何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合 ②事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合 ③事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合。③は、朝礼で当日の訪問先と帰社時刻を決めてから内見に出て、夕方に帰社する——という不動産営業の動き方にそのまま当てはまります。制度を使っているつもりでも要件を満たしていない、という状態は避けたいところです。
面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければならないとされています(労働安全衛生法66条の8の3)。その方法は、タイムカードによる記録、パソコン等の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法(労働安全衛生規則52条の7の3)。この把握義務は、みなし労働時間制が適用される人にも及びます(高度プロフェッショナル制度の対象者は別の規定で健康管理時間の把握が求められます)。
厚生労働省のガイドラインは、対象となる労働者を「労働基準法41条に定める者(管理監督者等)およびみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者は、みなしが適用される時間に限る)を除く全ての者」としています。ただし同時に、適用されない労働者についても、健康確保を図る必要から、適正な労働時間管理を行う責務があると明記されています。
ガイドラインが求めている記録の方法は、次の2つです(4(2))。原則として、このいずれかとされています。
直行直帰では①が難しく、②も難しい場面があります。その場合に自己申告制によらざるを得ないときは、ガイドライン4(3)が講ずべき措置を挙げています。
| 自己申告制のときに講ずべき措置(要旨) | 現場での意味 |
|---|---|
| 対象者に、実態を正しく記録し適正に申告するよう十分な説明をする | 「だいたいでいい」で運用しない |
| 労働時間を管理する者にも、適正な運用について十分な説明をする | 上長が独自ルールで丸めない |
| 申告と実際に乖離がないか、必要に応じて実態調査を実施し、補正する | 入退場記録やPCの使用時間と突き合わせる |
| 申告した時間を超えて事業場内にいる時間について、報告が適正か確認する | 「自主的な学習」として処理していないか |
| 適正な申告を阻害する措置を設けない(申告できる時間数に上限を設ける等) | 定額払や社内通達が申告の抑制要因になっていないか |
賃金台帳には、労働日数・労働時間数・休日労働時間数・時間外労働時間数・深夜労働時間数を記入します(労働基準法108条、同法施行規則54条)。記入していない、または故意に虚偽の記入をした場合は、同法120条により30万円以下の罰金。労働者名簿・賃金台帳・出勤簿やタイムカード等は、同法109条により5年間(附則143条により当分の間3年間)の保存。あわせて、労働時間の状況の記録は3年間保存が求められます(労働安全衛生規則52条の7の3第2項)。
現場でいちばん質問が多いのがここです。判断の軸は1つで、使用者の指揮命令下に置かれている時間かどうか。ガイドラインも、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、労働契約・就業規則・労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより客観的に定まるとしています。
| 場面 | 判断の目安 |
|---|---|
| 自宅から現地へ直行する移動 | 通勤に準じるものとして、原則は労働時間に当たらないと整理されることが多い |
| 移動中に資料の運搬や監視など、具体的な業務の指示がある | 指揮命令下に置かれていると評価される余地がある |
| 物件間の移動(業務命令によるもの) | 業務そのものの遂行に伴う移動として、労働時間と整理されやすい |
| 次の来店・内見に備えた待機 | 労働から離れることが保障されていなければ、手待ち時間として労働時間に当たる |
| 帰宅途中に立ち寄って物件の鍵を返却 | 業務として指示されているかどうかで判断が分かれる |
ガイドラインは、指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるとしています。上の表は考え方の目安であり、自社の運用が当てはまるかは社会保険労務士等にご確認ください。社内でルールを決めて周知しておくことが、あとからの食い違いをいちばん減らします。
法令が事業者に求めているのは「確認」「記録」「保存」。AIに任せられるのは、その手前の下ごしらえです。
| AIに任せてよい | 人がやる |
|---|---|
| 日報・行動記録から、勤怠入力のたたき台を作る | その時間を労働時間として扱うかの判断 |
| 打刻漏れ・未入力の洗い出し(「◯日が未入力です」) | 自己申告と実態の乖離の確認と補正 |
| 経費の内容から、勘定科目の候補を挙げる | 経費の承認と、税務上の取扱いの判断 |
| 交通費の経路と金額を一覧に整理する | 金額の妥当性の確認 |
| 申請内容の不備チェック(日付・金額・宛名の抜け) | 記録の確定と保存 |
外回りの行動記録が日報に残っていれば、そこから勤怠入力のたたき台を作らせるのがいちばん手早い方法です。日報そのものをAIで軽くする方法は 営業日報・週報をAIで自動作成 にまとめています。ただし、日報の記載をそのまま労働時間とするのではなく、確認して記録するという順序は変えないでください。なお、日報などで詳細な報告をさせている場合、事業場外みなしの適用が争われることがあります。適用の可否は、業務の性質や指示・報告の方法、実際の勤務状況などを踏まえて個別に判断されます。
勤怠と経費は、扱う情報が個人に直結します。集計や不備チェックに個人名は必要ありません。社員コード・取引先コードに置き換えてから渡すのが基本です。
入力してよい範囲を社内で決める手順は 不動産会社のAI利用ルールの作り方 に整理しています。AI利用全般の注意点は その不動産AI活用、規約違反かも?12の注意点 もあわせてどうぞ。
経費精算では、AI-OCRで領収書を読み取って入力を省く使い方が広がっています。手間は減らせますが、保存のルールは別途かかります。
紙の領収書を紙のまま保存し続けるのであれば、スキャナ保存の要件はかかりません。 AI-OCRを「入力の下ごしらえ」としてだけ使い、原本は紙で保管する——という選び方も当然あります。要件が関わってくるのは、紙の原本を廃棄して電子データで保存する(=スキャナ保存を行う)場合です。
スキャナ保存を行う場合、国税庁は読み取りの要件として解像度200dpi以上(A4サイズで約387万画素相当)、赤・緑・青それぞれ256階調以上(原則カラー)を示しています。あわせてタイムスタンプ等の要件や検索機能の確保も必要です。AIが読み取った金額や日付のテキストだけを保存し、元の画像を破棄してしまう運用は、要件を満たさないおそれがあります。詳細は 国税庁「適用要件【基本的事項】」 をご確認ください。
| 確認したいこと | 内容 |
|---|---|
| 読み取りの品質 | 200dpi以上・256階調以上。スマートフォン撮影でも要件を満たす必要がある |
| 検索できること | 取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にしておく |
| インボイスの記載事項 | 適格請求書の記載事項がそろっているか。AIの読み取り結果任せにしない |
| 少額特例 | 一定規模以下の事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能(後述) |
| 読み取り結果の突合 | 金額・日付・取引先は、人が原本と突き合わせる |
基準期間の課税売上高が1億円以下(または特定期間の課税売上高が5,000万円以下)の事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除ができるとされています。適用期間は令和5年10月1日から令和11年9月30日まで。1万円未満かどうかは1回の取引単位で判定し、商品ごとではありません(国税庁「少額特例の概要」)。これは消費税の仕入税額控除の要件についての措置で、法人税・所得税の計算に必要な書類の保存義務は別途残ります。「インボイスが要らない=領収書を捨ててよい」ではない点にご注意ください。自社が対象かどうかは顧問税理士にご確認ください。
メールに添付されたPDFの領収書、Web上で発行される利用明細、ETCの利用照会、キャッシュレス決済の電子領収書などは「電子取引」に当たります。国税庁の資料では、令和6年1月からは、プリントアウトしたあとに電子取引データを消さずに保存する必要がある(電子取引データが原本)と示されています。AIに読み取らせるかどうかにかかわらず、元データの保存義務は残ります。
【可視性の確保】①モニター・操作説明書等の備付け ②検索要件の充足。ただし「2課税年度前の売上高が5,000万円以下の方」(国税庁の資料での平易な表現。法令上は判定期間に係る基準期間における売上高)または「電子取引データをプリントアウトして日付および取引先ごとに整理されている方」は、ダウンロードの求めに応じることができるようにしていれば②は不要。
【真実性の確保】不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を制定し、遵守する(サンプルは国税庁のサイトに掲載)。専用システムがなくても、ルールを決めて守ることで満たせます。
①電子取引データ保存の一定のルールに従って保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要。人手不足・システム整備が間に合わない・資金不足など幅広い理由が想定されています)、かつ ②税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求めと、プリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合 は、電子取引データを保存しておくだけでよいとされています。詳細は 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」 をご確認ください。
外回りの立替で件数が多いのは、電車・バスの運賃と駐車場代です。ここはインボイス(適格請求書)の保存が要るもの/帳簿のみでよいものが分かれます。AIに読み取らせる対象を絞れる部分でもあります。
| 経費の種類 | インボイスの保存/AIに読ませる必要 |
|---|---|
| 電車・バスの運賃(1回の取引が税込3万円未満の公共交通機関による旅客の運送) | 帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能。AIには経路と金額の整理だけ任せる |
| 従業員等に支給する出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当(通常必要と認められる部分) | 帳簿のみの保存で可。同上 |
| 自動販売機・自動サービス機からの購入(税込3万円未満) | 帳簿のみの保存で可 |
| 宅地建物取引業を営む者が、適格請求書発行事業者でない者から購入する建物(棚卸資産に該当するものに限る) | 帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能。買取再販で該当しやすい |
| コインパーキング・時間貸駐車場 | 上記の特例に当たらないため、受け取った領収書の記載事項を確認。読み取り+人の突合 |
| 手土産・接待関連 | 原則どおりインボイスの保存が必要。読み取り+人の突合 |
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の一覧は、国税庁 タックスアンサー No.6496 にまとまっています。なお、帳簿のみの保存で認められるのは消費税の仕入税額控除についてです。法人税・所得税の計算に必要な書類の保存(旅費精算書など)は別途必要です。自社の扱いは顧問税理士にご確認ください。
勤怠の記録方法、保存年数、AIに任せてよいこと/人がやること、領収書の読み取りの注意点を1枚にまとめています。管理部門で共有する叩き台としてお使いください。
# 不動産の勤怠・経費精算 × AI 線引きチェックリスト
# ── 直行直帰の多い不動産の現場で、「AIに任せてよいこと」と「人がやること」を分けるための確認表です。
# 出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)/
# 労働基準法/労働安全衛生法/国税庁(電子帳簿保存法・インボイス少額特例)
■ 1. 勤怠:まず自社の状況を確認する
□ 直行直帰の日の始業・終業時刻を、どうやって確認・記録しているか
□ 記録の方法は、次のどちらか(ガイドライン4(2))
ア 使用者が自ら現認して記録
イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として記録
□ 自己申告制に頼っている場合、次の措置を取っているか(ガイドライン4(3))
□ 対象者に、実態を正しく記録し適正に申告するよう十分な説明をしている
□ 申告と実態に乖離がないか、必要に応じて実態調査をして補正している
□ 申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置がない
…(以下、記録の保存年数、AIに任せてよいこと/人がやることの一覧、
領収書をAIで読み取るときの確認(電子帳簿保存法・インボイス)、AIに入力しないもの がつづきます)
テキストファイル(.txt)。出典URL付き。
勤怠・経費の悩みは「システムが古いから」と語られがちですが、実際には入力と確認の手間が問題であることが多いものです。入れ替えの検討に入る前に、次の順で試す価値があります。
システムを入れ替えても、記録の方法が決まっていなければ同じ問題が起きます。逆に、記録の方法が固まっていれば、入れ替えるときの要件もはっきりします。導入全体の進め方は 不動産会社のAI導入の進め方 もどうぞ。
A. いいえ。みなし労働時間制が適用される時間は厚生労働省のガイドラインの対象外とされていますが、面接指導を実施するための「労働時間の状況の把握」は別途必要です(労働安全衛生法66条の8の3)。方法は、タイムカードやパソコンの使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とされ、その記録は3年間保存します(労働安全衛生規則52条の7の3)。
A. たたき台として使うのは問題ありませんが、そのまま記録にするのは避けてください。ガイドラインは、自己申告による把握が実際と合致しているかを必要に応じて調査し、補正することを求めています。AIの出力は「申告の下書き」であり、確認と記録は事業者の仕事です。
A. スキャナ保存を行う場合は、読み取りの解像度(200dpi以上)や階調(256階調以上)などの要件があり、検索機能の確保も必要です。読み取ったテキストだけを残して画像を破棄する運用は、要件を満たさないおそれがあります。保存方法は顧問税理士に確認してください。
A. 少額特例は、一定規模以下の事業者が、税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられる措置で、適用期間は令和11年9月30日までです。自社が対象かどうか、また社内の精算ルール上どう扱うかは別問題なので、税理士に確認したうえで運用を決めてください。
A. 判断の軸は「使用者の指揮命令下に置かれている時間か」です。自宅から現地への直行は通勤に準じるものとして原則は労働時間に当たらないと整理されることが多い一方、移動中に具体的な業務の指示がある場合や、物件間の移動が業務命令による場合は、労働時間と整理されやすくなります。実際の判断は個別の事情によるため、社内でルールを決めて周知しておくことをおすすめします。
A. コインパーキングなどは、公共交通機関の特例(1回の取引が税込3万円未満の旅客の運送)や出張旅費等の特例には当たらないため、受け取った領収書の記載事項を確認することになります。一方、電車・バスの運賃や、従業員に支給する通常必要と認められる出張旅費等は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるとされています(国税庁 No.6496)。
A. 氏名を社員コードに置き換え、住所・口座情報・マイナンバーなどを除いたうえで、打刻漏れの洗い出しや集計に使うのであれば現実的です。ただし、健康診断の結果や面接指導に関する情報は扱いが異なるため入力しないでください。社内での線引きは 不動産会社のAI利用ルールの作り方 の手順で決めておくと安全です。
A. 記録の「抜け」を早く見つけることができます。打刻漏れや、申告と行動記録の食い違いを月中に洗い出せれば、締め日にまとめて直す作業が減ります。ただし、時間外労働そのものの是非や上限の管理は、AIの出力ではなく労使の取り決めと法令に基づいて判断してください。
| 数値で押さえるところ | 内容と根拠 |
|---|---|
| 労働者名簿・賃金台帳・タイムカード等の保存 | 5年(附則143条により当分の間3年)/労働基準法109条 |
| 労働時間の状況の記録の保存 | 3年/労働安全衛生規則52条の7の3第2項 |
| 賃金台帳の未記入・虚偽記入 | 30万円以下の罰金/労働基準法120条 |
| スキャナ保存の読み取り | 200dpi以上・赤緑青それぞれ256階調以上(A4で約387万画素相当)/国税庁 |
| インボイスの少額特例 | 税込1万円未満・基準期間の課税売上高1億円以下等・令和11年9月30日まで/国税庁 |
| 公共交通機関の特例 | 1回の取引が税込3万円未満/国税庁 |
まずは自社の「直行直帰の日の記録方法」を1つ確認するところから始めてみてください。そこが決まれば、AIに任せてよい範囲も自然に決まります。
本記事は2026年9月30日時点の法令・公表資料に基づく一般的な整理です。法令やガイドライン、税制上の措置は改正されることがあります。実務での判断にあたっては、最新の情報をご確認のうえ、社会保険労務士・税理士や所轄の労働基準監督署・税務署にご相談ください。
バックオフィスの手間もAIで減らしたい方へ 自社のAI活用レベルと、次に手をつける業務を5分で整理できます。
藤田 遼(株式会社WIG 代表/宅地建物取引士)
不動産業界での実務経験をもとに、現場でそのまま使える生成AIの活用法を研究・発信。「今日からコピペで使える」を合言葉に、不動産特化のAIノウハウを届けています。