不動産の文章校正AI|誤字より怖い広告表現を点検

不動産の原稿で怖いのは、実は誤字脱字ではありません。「格安」「完全リフォーム」といった根拠のいる表現や、在庫と食い違ったままの「即入居可」——読み飛ばしてしまいがちな一言が、広告表示のルールに触れることがあります。とはいえ、掲載前に一本ずつ目視で確かめるのは、物件数が増えるほど現実的ではなくなります。本記事では、原稿を貼り付けるだけで、誤字・表記ゆれ・使ってはいけない表現・必要表示事項の記載漏れまでをAIに洗い出させる方法を紹介します。専用ツールの契約は不要で、ChatGPT・Claudeに配布プロンプトを貼るだけ。ただし徒歩分数や在庫状況など、資料で裏を取るべき項目は人が確認する——という前提での設計です。

この記事について(対象と前提)

物件広告・自社サイト・SNS・顧客向け文面をつくる方向けです。AIが出すのは指摘の一覧と修正案で、掲載可否の最終判断は広告責任者・宅地建物取引士が行ってください。徒歩分数・面積・在庫状況など資料で裏を取る項目は、AIの判断にゆだねない設計にしています。顧客名・連絡先など個人が特定できる情報は、貼り付ける前に削ってください。

文章校正でAIが得意なのは、決まった観点で機械的に全文を当たることです。人は読み慣れた原稿ほど目が滑りますが、AIは何度でも同じ観点で最初から点検します。追加ツールの契約や登録は不要で、ChatGPT・Claudeの無料プランにコピペするだけ・数分で試せます。

プロンプト(無料)はダウンロードして使えます

ChatGPT・Claude にそのまま貼れる点検プロンプトです。すぐ試したい方は、下のリンクから「プロンプトを使う」へ。

プロンプトを今すぐ使う

1. 不動産の校正で本当に見るべきは、誤字ではありません

一般的な文章校正ツールが見ているのは、誤字脱字と表記ゆれです。もちろん大切ですが、不動産の原稿でリスクが大きいのは別のところ。根拠のない最上級表現や、定義が決まっている用語の誤用、必要な項目の書き漏れです。誤字は読みにくいだけで済むことが多い一方、表示ルールに触れる表現は、掲載の取り下げや訂正、指導につながることがあります。

校正で見る4つの観点見落としたときに起きやすいこと
① 誤字・脱字・変換ミス読みにくさ、信頼感の低下。被害は比較的小さい
② 表記ゆれ(社名・物件名・単位・数字)物件の取り違え、問い合わせ時の食い違い
③ 使ってはいけない表現優良誤認のおそれ。訂正・掲載取り下げ、指導の対象になり得る
④ 必要表示事項の記載漏れ規約違反のおそれ。取引態様や免許番号の抜けは指摘されやすい

③と④は、書いた本人ほど気づきにくい種類のミスです。「いつも使っている言い回し」だから疑わない、「前の原稿から流用した」から抜けに気づかない。ここを機械的に当て直す役割こそ、AIに向いています。

根拠になるルールは3つ

不動産広告の表現は、宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)、不動産の表示に関する公正競争規約、景品表示法 の3つで規律されています。個別の表現がどう扱われるかは媒体や物件種別でも変わるため、判断に迷う表現は所属する公正取引協議会や社内の広告責任者に確認してください。

2. AIに点検させる4観点と、任せ方の線引き

すべてをAIに任せるのではなく、「文面だけで判断できること」と「資料を見ないと判断できないこと」で分けるのがコツです。前者はAIに任せ、後者は指摘だけさせて人が裏を取ります。

AIに任せてよいこと人が資料で確認すること
誤字・脱字・変換ミスの検出徒歩分数(地図上の道路距離での確認)
表記ゆれ、全角半角、日付の書式の統一面積・間取り・築年月(物件資料・登記記録との照合)
最上級・断定表現の洗い出しと言い換え案「最上級を使える客観的な根拠」があるかどうか
必要表示事項が書かれているかの照合権利関係・法令制限(役所調査の結果と照合)
文章の長さ・重複・読みにくさの指摘在庫・取引状況(掲載時点で取引できる物件かどうか)

「直させる」より「疑わせる」

AIに修正させると、もっともらしい数字や表現に書き換えてしまうことがあります。配布プロンプトでは、徒歩分数・面積・在庫などを修正対象から外して「要確認」に分類させる設計にしています。AIが事実を作ってしまう性質については 不動産AIのハルシネーション対策 もあわせてどうぞ。

3. 使い方は3ステップ

1. 原稿を貼る

プロンプトの【媒体・種別】と【点検する原稿】を埋めて、ChatGPT または Claude に送ります。媒体を書いておくと、必要表示事項の当て方が変わります。

2. 指摘の一覧を受け取る

「該当箇所/なぜ問題か/修正案/人の確認が必要か」の表で返ってきます。件数サマリと、人が確認する項目のチェックリストも一緒に出る形にしています。

3. 「要確認」だけ人が裏を取る

確定できる修正はそのまま反映し、要確認の項目だけ資料に当たります。ここが残る限り、AIだけで掲載判断まで完結させないでください。

4. プロンプトを使う(コピーして貼るだけ)

下のボタンからプロンプト全文をダウンロードできます。テキストファイルなので、そのままコピーして貼り付けるだけ。特別なアプリや設定は不要です。

掲載前チェック用プロンプト

# 不動産の原稿「掲載前チェック」AIプロンプト
# ── 誤字/表記ゆれ/使ってはいけない表現/必要表示事項の記載漏れ を一括で点検します。
# 使い方:下の【点検する原稿】に、マイソク・ポータル原稿・自社サイト・SNS・メール文面などを貼り付けて、
#         この全文を ChatGPT または Claude に送ってください。

あなたは不動産広告の表示ルールに詳しい校正担当者です。
下の【点検する原稿】を、次の4つの観点で点検し、指摘の一覧を作ってください。
原稿に書かれていない事実を補ったり、推測で断定したりしないでください。
判断がつかないものは「要確認」として、確認に使う資料名とあわせて残してください。

■ 点検する4観点
1. 誤字・脱字・変換ミス
2. 表記ゆれ(社名/物件名/単位/数字/全角・半角/日付の書式)
3. 使ってはいけない表現(根拠のない最上級・価格評価、実態と乖離する誇張、在庫と食い違う表現 ほか)
4. 必要表示事項の記載漏れ(取引態様/所在地/交通の利便/面積/価格/築年月/免許番号 ほか)

■ 出力形式(この表で出してください)
| No | 種別(1〜4) | 該当箇所(原文の抜粋) | なぜ問題か | 修正案 | 人の確認が必要か |
…(以下、修正案のルール〈徒歩分数・面積・在庫などは修正せず「要確認」に分類〉、
  最後に出す3点〈件数サマリ/人が確認する項目のチェックリスト/書き直した原稿の全文〉、記入欄がつづきます)

プロンプト全文を無料でダウンロード

テキストファイル(.txt)。ChatGPT・Claude どちらでも使えます。

5. どんな指摘が返ってくるか

出力のイメージです。以下は架空の原稿を想定して作成したサンプルで、実在物件の広告や、実際のAIの出力をそのまま載せたものではありません。指摘そのものより、「人の確認が必要」に振り分けられる項目に注目してください。ここが、掲載前に潰しておくべきリストになります。

種別3| 該当:「駅近で格安の掘り出し物件」/ なぜ問題か:根拠を示せない価格評価にあたるおそれ/ 修正案:「〇〇駅から徒歩◯分・近隣相場〇〇万円台の中での価格設定」/ 人の確認:要(相場の根拠資料)

種別3| 該当:「フルリフォーム済み」/ なぜ問題か:未施工箇所があると実態と乖離/ 修正案:「2026年◯月に内装・水回りをリフォーム(外壁は未施工)」/ 人の確認:要(施工内容と時期)

種別4| 該当:原稿全体/ なぜ問題か:取引態様の記載が見当たりません/ 修正案:「取引態様:媒介」を追記/ 人の確認:要(自社の立場の確認)

種別2| 該当:「80.5㎡」と「80.50m2」/ なぜ問題か:同一原稿内で単位表記が不統一/ 修正案:「㎡」に統一/ 人の確認:不要

6. 原稿の種類ごとに、見るポイントは変わります

原稿の種類特に見たい観点
ポータル掲載原稿・マイソク必要表示事項の漏れと禁止表現。媒体ごとの入力欄に合わせて確認
自社サイトの物件ページ古い情報の残置。成約済み物件の掲載が残っていないか
SNS投稿文字数の制約で省略されがち。取引態様・免許番号などの抜け
顧客向けメール・案内文断定表現(「必ず」「確実に」)と、根拠のない見通し
オーナー向け報告書数字の転記ミスと表記ゆれ。推測を事実として書いていないか

広告原稿をこれから作る場面では、作成時点でルールを織り込んでしまうほうが早いです。キャッチコピーの生成とコンプラチェックを同時に行う方法は SUUMOキャッチコピーをAIで自動化 にまとめています。本記事の点検プロンプトは、すでにある原稿を後から当て直すための道具として使い分けてください。

7. 掲載中の原稿を「棚卸し」する使い方

効果が出やすいのは、実は掲載前より掲載中の原稿の見直しです。何年も前に作った物件ページや会社案内は、当時の基準のまま残っていることがあります。月に一度、掲載中の原稿をまとめて点検にかけるだけでも、抱えているリスクの棚卸しになります。

  1. 掲載中の原稿を、媒体ごとに10〜20本ずつテキストで取り出す
  2. 点検プロンプトに順番にかけ、指摘の件数サマリだけ記録する
  3. 指摘が多い原稿から優先して直す
  4. 「要確認」に挙がった項目は、担当者を決めて資料で裏を取る
  5. 直した内容を、次に作る原稿のテンプレートに反映する

指摘の傾向が、そのまま社内ルールになります

同じ指摘が繰り返し出るなら、それは個人の不注意ではなく雛形の問題です。指摘の上位を社内の禁止ワード集や原稿テンプレートに反映すると、そもそも間違いが起きにくくなります。AI利用そのもののルールづくりは 不動産会社のAI利用ルールの作り方 もどうぞ。

8. 使うときの注意

注意したいこと対応
AIの指摘は法的な判断ではありません最終判断は広告責任者・宅地建物取引士が実施。迷う表現は公正取引協議会へ確認
指摘が出ない=問題なし、ではありませんAIが見ているのは文面のみ。事実関係の誤りは検出できません
個人情報・非公開情報の入力顧客名・連絡先・オーナー名は削除してから貼り付け
AIが修正案で数字を作ることがあります数字・面積・分数は、修正案をそのまま採用せず資料で確認

AIの業務利用そのもので気をつける点は その不動産AI活用、規約違反かも?12の注意点 に整理しています。

9. よくある質問(Q&A)

Q. 無料のChatGPTやClaudeでも使えますか

A. 使えます。配布プロンプトは、追加ツールや有料プランを前提にしていません。長い原稿を一度に貼ると途中で切れることがあるため、その場合は物件ごと・見出しごとに分けて点検してください。

Q. AIが「問題なし」と答えたら、そのまま掲載してよいですか

A. 掲載可否の判断には使えません。AIが見ているのは文面だけで、徒歩分数や面積が事実と合っているか、在庫が残っているかは判断できないためです。「要確認」に挙がった項目を人が裏取りしたうえで、広告責任者が判断してください。

Q. 既存の校正ツールとどう使い分けますか

A. 誤字脱字や表記ゆれの検出は、一般的な校正ツールでも対応できます。本記事のプロンプトが担うのは、不動産の広告表現と必要表示事項の観点です。両方を使うなら、先に校正ツールで文章を整え、そのあとに本プロンプトで表現とルールを当てる順番が効率的です。

Q. 点検の精度を上げるコツはありますか

A. 【媒体・種別】と【物件種別】を具体的に書くことです。必要表示事項は媒体や物件種別で変わるため、ここが空欄だと指摘が一般論に寄ります。自社で決めている禁止ワードがあれば、プロンプトの観点3に追記してください。

10. まとめ

まずは手元の原稿を1本、点検にかけるところから試してみてください。指摘が3つも出れば、同じ雛形から作った他の原稿にも同じ問題が眠っています。

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この記事を書いた人

藤田 遼(株式会社WIG 代表/宅地建物取引士)
不動産業界での実務経験をもとに、現場でそのまま使える生成AIの活用法を研究・発信。「今日からコピペで使える」を合言葉に、不動産特化のAIノウハウを届けています。