不動産のLINEでAIができること10選|コピペ指示文つき

不動産会社のLINE業務は、返信文の作成から自動応答まで、AIでかなりの部分を肩代わりできます。多くはツールを契約しなくても、汎用のAIだけで試せます。この記事では、LINEでAIができることを10の用途に整理し、場面ごとにそのままコピーして使える指示文を紹介します。最後に、AIに任せてはいけない業務もまとめました。

LINEにAIを入れると便利だという話は耳にするものの、具体的に何ができるのか分からない。ベンダーの広告は目にしても、自社の業務のどれが該当するか結びつかない——。この記事は、反響も追客もLINEが中心だがLINEでAIを使った経験はまだない担当者・店長に向けて、LINEでAIができることを10の用途に整理し、場面ごとにそのまま貼って使える指示文を渡します。多くはツールを契約せず、汎用AIだけで試せます。最後に、AIに任せてはいけない業務もまとめました。

不動産のLINE業務で使える10の用途の一覧図。1反響直後の初回返信=短文に分けた返信文の作成(汎用AI)、2希望条件の整理=やり取りからの条件表の作成(汎用AI)、3内見の日程調整=候補日時の提示文とリマインド文(汎用AI)、4追客と再接触=切り口の異なる文面案の作成(汎用AI)、5物件紹介の文面づくり=条件に合わせた紹介文の下書き(汎用AI)、6外国語の問い合わせ対応=一次回答の翻訳と下書き(汎用AI)、7設備不具合の受付=状況の聞き取りと記録の整形(汎用AI)、8更新・退去・工事の案内=告知文と個別連絡文の作成(汎用AI)、9営業時間外の一次対応=定型的な質問への自動応答(LINE連携ツール)、10返信テンプレの作成=履歴からのよくある質問の抽出(汎用AI)。10のうち9つは汎用AIで試せる。
LINE業務で使えるAIの10用途。9つは汎用AIだけで試せ、ツールが要るのは自動応答(9番)だけ

この記事で分かること

・LINE業務でAIが担える10の用途と、汎用AIで足りるもの・ツールが必要なもの
・反響対応(初回返信・条件整理・日程調整・再接触)のコピペ指示文
・入居者対応(設備不具合の受付・各種案内)とオーナー報告への使い回し
・自動応答ツールの選び方4観点と、AIに答えさせない4つの質問(宅建業法の根拠つき)

1. 不動産のLINEでAIができること10選|用途の一覧

不動産のLINE業務でAIが担えるのは、文面づくり・情報整理・一次対応の3種類です。まず全体像から確認してください。

1-1. LINE業務で使える10の用途 次の10が、実務で使われている用途です。

No/用途|AIがやること必要なもの
1 反響直後の初回返信|短文に分けた返信文の作成汎用AI
2 希望条件の整理|やり取りからの条件表の作成汎用AI
3 内見の日程調整|候補日時の提示文とリマインド文汎用AI
4 追客と再接触|切り口の異なる文面案の作成汎用AI
5 物件紹介の文面づくり|条件に合わせた紹介文の下書き汎用AI
6 外国語の問い合わせ対応|一次回答の翻訳と下書き汎用AI
7 設備不具合の受付|状況の聞き取りと記録の整形汎用AI
8 更新・退去・工事の案内|告知文と個別連絡文の作成汎用AI
9 営業時間外の一次対応|定型的な質問への自動応答LINE連携ツール
10 返信テンプレの作成|履歴からのよくある質問の抽出汎用AI

10のうち9つは、ChatGPTやClaudeなどの汎用AIで試せます。ツールの契約が要るのは、AIが顧客へ直接返信する9番だけです。

1-2. 汎用AIだけでできることと、ツールが必要なこと この2つの違いは、AIが顧客と直接つながるかどうかにあります。汎用AIを使う場合、担当者が指示文を貼って文面を受け取り、自分でLINEに貼って送ります。顧客から見れば、これまでと同じ担当者からの連絡です。無料の範囲でも始められ、合わなければやめられます。一方、LINE連携ツールを使う場合は、AIが公式アカウント上で顧客に直接返信します。夜間や早朝の問い合わせに反応でき、来店予約の日程調整まで進める製品も出ています。ただし、月額費用と初期設定が発生し、答えさせる範囲を事前に決める作業も必要になります。順番としては、汎用AIで文面づくりを試し、効果が見えてからツールを検討する形が無駄になりません。

1-3. まず試すならこの3つ

10すべてに同時に手をつける必要はありません。最初に試すなら、1番の初回返信・3番の日程調整・8番の案内文をおすすめします。理由は、①発生する件数が多く短縮の効果を感じやすい、②送る内容がある程度決まっておりAIの出力を確認しやすい、③失敗しても文面を書き直すだけで済み実害が出にくい、の3点です。

2. 不動産の反響対応でLINE文面をAIに作らせる

反響対応は、LINE業務でもっとも件数が多い場面です。ここでは1番から4番までの指示文を紹介します。ChatGPTやClaudeなどに貼るだけで使えます。

2-1. 【コピペ用】反響直後の初回返信を3通に分ける 初回返信は、長さの調整が成果を左右します。メールと同じ長さの文章を1通で送ると、最後まで読まれないまま既読になります。

あなたは賃貸仲介の反響対応に慣れた担当者です。以下の問い合わせに対する初回返信を、LINEで送る前提で作成してください。

【問い合わせ内容】
(ポータルからの問い合わせ本文を貼る。氏名・電話番号・メールアドレスは削除する)

【出力形式】
3通に分けて出力する。1通あたり全角60文字以内。各通の先頭に「1通目」などの見出しを付ける

【条件】
・1通目はお礼と自社名の名乗り、2通目は物件の状況の回答、3通目は希望条件の確認のお願い
・絵文字とスタンプを使わない
・空室状況と初期費用の金額は書かず、確認のうえ連絡する旨にとどめる
・「必ず」「確実に」などの断定表現を使わない
・営業時間外に送る場合は、詳しい回答が翌営業日になる旨を1通目に入れる

Before / After と、もう一歩良くなるコツ

条件を付けずに「返信文を作って」とだけ頼むと、AIは長い1通を返します。丁寧でもスマホでは何度もスクロールが必要です。3通に分ける指定を加えると、1通目が読まれてから2通目が届く形になり離脱を抑えやすく、金額を書かせない条件が未確認の初期費用をAIが埋めてしまう事故を防ぎます。/自社の名乗り方を指示文に固定する:店舗名と担当者名の順番をそろえるとテンプレ化しやすい。/営業時間を1行書いておく:夜間の反響に翌営業日の連絡になる旨を自動で入れてくれます。

2-2. 【コピペ用】トーク履歴から希望条件を整理する LINEのやり取りは、希望条件が会話の中に散らばります。転記の作業をAIに任せると、聞き漏らしも同時に見つかります。

以下はお客さまとのLINEのやり取りです。希望条件を表に整理してください。

【やり取り】
(トーク履歴を貼る。氏名・電話番号・勤務先・家族構成など、個人を特定できる情報は削除する)

【出力形式】
項目/やり取りから分かること/未確認、の3列の表

【項目】
入居希望時期/エリアと沿線/予算(賃料と初期費用)/間取りと広さ/譲れない設備/入居人数/駐車場の要否

【条件】
・やり取りに書かれていない項目は「未確認」と記載する
・推測で埋めない
・最後に、次の連絡で確認すべき質問を3つ挙げる

貼り付け前に個人情報を削除する

「推測で埋めない」を必ず入れる:この1行がないと、AIは会話の流れから予算や時期を勝手に補完します。/未確認の質問を3つに絞らせる:一度に多く聞くと返信率が下がるため、優先度の高い3つに限定します。トーク履歴を貼り付ける前の個人情報の削除作業は省かないでください。理由は5章で解説します。

2-3. 【コピペ用】内見の日程調整とリマインドを作る 日程調整は、やり取りの往復が増えやすい場面です。番号で返信してもらう形にすると、1往復で確定します。

内見の日程調整と前日リマインドのLINE文面を作成してください。

【前提】
物件:〇〇(町名まで)/候補日時:9月20日(土)11時、9月20日(土)14時、9月21日(日)10時/集合場所:現地/所要時間:1件あたり30分

【出力してほしいもの】
1. 候補日時を提示する文面(全角100文字以内)
2. 日時が確定した後の確認文面(持ち物と集合場所を含む)
3. 前日に送るリマインド文面(全角80文字以内)

【条件】
・候補日時に番号を振り、番号で返信してもらう形にする
・変更とキャンセルの連絡先を明記する
・鍵の手配があるため、変更は前日17時までとする一文を入れる
・絵文字を使わない

もう一歩良くなるコツ

集合場所を町名までにとどめる:番地を含む文面をそのままテンプレ化すると、別物件で使い回したときに誤送信につながります。/持ち物を指示文に固定する:身分証明書と印鑑の記載漏れが当日の手戻りを防ぎます。確認文面とリマインド文面は、一度作れば物件名と日時の差し替えだけで再利用できます。

2-4. 【コピペ用】返信が止まったお客さまへの再接触文 追客の文面は、書き手の気まずさが出やすい場面です。切り口を3案出させると、催促にならない文面を選べます。

返信が止まったお客さまに送る再接触のLINE文面を3案作成してください。

【状況】
最後のやり取りから2週間経過/内見は1件実施済み/申し込みには至っていない/希望条件:(ここに条件を書く)

【出力形式】
案ごとに「切り口/文面(全角80文字以内)」

【条件】
・案1は新着物件の案内、案2は条件の見直し提案、案3は状況確認のみの短文
・催促や急かす表現を使わない
・「今だけ」「残り1室」など、確認できない事実を書かない
・返信しやすいよう、はい・いいえで答えられる質問で終える

案は社内で共有すると、担当者ごとの追客文面のばらつきがそろいます。送る時間帯も統一すると返信率に関わります。物件紹介の文面(5番)と外国語対応(6番)も、同じ形式で条件を与えれば作れます。

3. 入居者対応を不動産会社がLINEとAIで軽くする

管理部門のLINEは、入居者からの連絡と、オーナーへの報告が中心です。ここでは7番と8番の用途を扱います。

3-1. 【コピペ用】設備不具合の状況を聞き取って記録する 設備の不具合は、聞くべき内容が毎回同じです。聞き取りの質問と、業者へ渡す記録をまとめて作らせます。

入居者から設備不具合の連絡がありました。LINEでの聞き取りと、業者へ渡す記録を作成してください。

【入居者からの連絡】
(受け取ったメッセージを貼る。氏名と部屋番号は削除する)

【出力してほしいもの】
1. LINEで返す聞き取りの質問(全角100文字以内、3項目まで)
2. 受付記録の下書き(発生日時/症状/使用状況/緊急度/必要な手配、の5項目)

【条件】
・修理費の負担者を回答に含めない
・訪問日を確定させる表現を使わない
・緊急度は「即日」「翌営業日」「通常対応」の3段階で判定し、判断理由を1行添える
・水漏れと異臭が疑われる場合は、最優先で電話連絡を促す一文を入れる

もう一歩良くなるコツ

負担者を書かせない条件を必ず入れる:費用負担は契約内容と原因によって変わり、一次受付の段階では答えられません。/緊急度の理由を出させる:判断のばらつきが減り、引き継ぎのときに経緯を説明しやすくなります。記録の下書きがあれば、管理システムへの入力も転記だけで済みます。

3-2. 【コピペ用】更新・退去・工事告知の案内文を作る 定期的に送る案内文は、AIとの相性が良い業務です。同じ内容を複数の宛先向けに作り分けられます。

入居者へ送る案内文を作成してください。

【案内の内容】
(例:受水槽清掃のため、9月25日9時から12時まで断水する)

【出力してほしいもの】
1. LINEで送る短い告知文(全角120文字以内)
2. 掲示板に貼る文面(日時・対象範囲・問い合わせ先を含む)
3. 高齢の入居者向けに、平易な表現へ言い換えた版

【条件】
・お詫びの言葉を冒頭に置く
・日時と対象範囲を最初の2行に書く
・専門用語を使う場合は、かっこ書きで説明を添える
・問い合わせ先の電話番号は(ここに記載)とだけ書き、こちらで差し替える

もう一歩良くなるコツ

3つの版をまとめて作らせる:媒体ごとに作り直す手間が省け、内容の食い違いも起きません。/電話番号を書かせない:AIが実在しない番号を入れてしまう事故を防げます。案内文はテンプレとして保存し、日時と内容だけを差し替えて使い回してください。

3-3. オーナーへの報告にも同じ素材を使い回す 入居者対応の記録は、オーナーへの報告にそのまま転用できます。受付記録をAIに渡し、報告文の下書きを作らせてください。依頼するときは、報告に含める範囲を指定します。入居者の氏名や生活状況は伏せ、発生した事象と対応、費用の見込みだけを書かせる形が実務に合います。月次でまとめて報告する場合は、複数件の記録を貼って一覧表にさせる方法もあります。オーナー報告は関係が長く続く業務です。文面の体裁がそろっていると、対応の質が伝わりやすくなります。

4. 不動産のLINE AIツールでできる自動応答と選び方

ここからは、10の用途のうち、唯一ツールが必要になる9番(自動応答)を扱います。

4-1. 自動応答でできること 自動応答では、AIが公式アカウント上で顧客に直接返信します。業務支援システムの機能として提供される形が主流です。

LINEの自動応答でできることの図。AIがLINE上でお客さまに直接返信し、24時間いつでも対応できる。できること=来店予約の自動調整、よくある質問への即時回答。導入事例=いえらぶGROUP(顧客管理システムのLINE連携で「いえらぶAIエージェント」を実装し、会話のラリーから来店予約の確定まで自律的に対応)、GA technologies(RENOSYのオーナー・入居者向けにLINE公式アカウントを開設し、AIチャットボットで24時間365日の一次対応を実現)。運用のポイント=すべての質問に答えさせない。一次対応・来店予約など役割を決めて運用するのが現実的。
自動応答は役割を「一次対応」と「来店予約」に絞るのが現実的(すべての質問に答えさせない)

たとえば、いえらぶGROUPは顧客管理システムのLINE連携機能に「いえらぶAIエージェント」を実装しました。AIが会話のラリーを行い、来店予約の確定までを自律的に進める機能です(株式会社いえらぶGROUP プレスリリース)。GA technologiesも、RENOSYのオーナー・入居者向けにLINE公式アカウントを開設し、AIチャットボットを組み込んで24時間365日の一次対応が可能になったと発表しています(株式会社GA technologies ニュース)。どちらも役割を「一次対応」と「来店予約」に置いている点が参考になります。あらゆる質問に答えさせるのではなく、範囲を決めて運用する形が現実的です。

4-2. 【コピペ用】トーク履歴からよくある質問を抽出する 自動応答に答えさせる質問は、過去の履歴から決められます。10番目の用途にあたる作業です。

以下は過去3か月のLINEでの問い合わせ内容です。よくある質問を抽出してください。

【問い合わせ内容】
(個人を特定できる情報を削除したうえで貼る)

【出力形式】
質問の類型/件数/想定される回答文(全角100文字以内)/人が答えるべきか、の4列の表

【条件】
・件数の多い順に10件まで
・回答文は、どの物件にも共通して使える内容にとどめる
・金額や空室状況など、その都度変わる情報は回答文に書かない
・貸主や保証会社の判断が必要な質問は「人が答える」と記載する

出力された表は、そのまま自動応答の設計図として使えます。ツールを入れない場合も、返信テンプレとして役立ちます。

4-3. ツールを選ぶ4つの観点と、導入しない3つのケース 比較の軸は、次の4点に絞れば足ります。

3点目の有人切替は、機能の一部ではなく前提条件と考えてください。これがないと、答えさせてはいけない質問にAIが回答し続ける状態になります。料金と提供機能は変動が速いため、検討時には公式サイトで最新情報を確認しましょう(※2026年10月時点の情報です)。次のいずれかに当てはまる場合は、契約をいったん見送るほうが無駄が出ません。①月の新規反響が数件しかない(汎用AIによる文面づくりで十分に回る)、②LINE公式アカウントを開設していない(まず開設と友だち追加の導線づくりが先)、③返信の型が社内で決まっていない(AIに与える材料がなく回答がばらつく)。3つ目は特に見落とされます。ツールは自社の対応方針を代わりに決めてはくれません。

5. 不動産のLINEでAIに任せない業務|使う前の注意点

ここまでの用途を試す前に、押さえておきたい注意点があります。LINEでの回答は、宅地建物取引業者としての説明そのものです。AIが返した内容も、送信した会社の責任になります。

5-1. AIに答えさせない4つの質問 次の4つは、AIの精度が上がっても任せられません。根拠が法令にあるためです。

AIに答えさせない4つの質問の表。1入居審査に通るかどうか=貸主と保証会社の判断であり業者が断定できない→申込書の提出を案内し結果を待つ旨を伝える。2重要事項説明の内容の説明=宅地建物取引士が説明すべき事項にあたる→説明の日程調整に切り替える。3将来の資産価値や家賃の見通し=断定的判断の提供にあたるおそれがある→過去の成約事例や統計資料を示す。4近隣の事件事故・心理的瑕疵の有無=告知に関わる事項であり人が事実を確認する→担当者が調査したうえで回答する。AIは便利だが「人の判断が必要な質問」は必ず担当者が対応する。
AIに答えさせない4つの質問(入居審査・重説・将来予測・心理的瑕疵。根拠は宅建業法)
質問の例|理由代わりにすること
入居審査に通るかどうか|貸主と保証会社の判断であり、業者が断定できない申込書の提出を案内し、結果を待つ旨を伝える
重要事項説明の内容の説明|宅地建物取引士が説明すべき事項にあたる説明の日程調整に切り替える
将来の資産価値や家賃の見通し|断定的判断の提供にあたるおそれがある過去の成約事例や統計資料を示す
近隣の事件事故、心理的瑕疵の有無|告知に関わる事項であり、人が事実を確認する担当者が調査したうえで回答する

3行目について補足します。宅地建物取引業法第47条の2第1項は、契約締結の勧誘に際して、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為を禁じています。将来の環境や交通の利便についての断定的判断も、同条第3項と施行規則第16条の12で禁止されています(宅地建物取引業法|e-Gov法令検索)。生成AIは聞かれた質問に何らかの答えを返そうとするため、この領域は設定で明確に外してください。

5-2. 重要事項説明はLINEのトークで完結しない 賃貸でも売買でも、重要事項説明は宅地建物取引士が行います。オンラインでの実施は認められているものの、テキストのやり取りは対象になりません。国土交通省の解釈・運用の考え方では、ITを活用した重要事項説明が対面と同様に扱われる要件が示されています(IT重説のためのIT環境|全日本不動産協会)。

LINEのトーク画面は、映像と音声による双方向のやり取りにあたりません。ビデオ通話を使う場合も、要件を満たす環境かどうかを事前に確認する必要があります。

5-3. トーク画面をそのままAIに貼らない

2章と3章の指示文で氏名や連絡先を削除するよう書いたのは、このためです。LINEのトーク履歴には氏名・電話番号・勤務先・家族構成が含まれ、この画面を汎用AIにそのまま貼る運用は、個人データを含むプロンプトの入力にあたる可能性があります。個人情報保護委員会は2023年6月に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表し、個人情報を含むプロンプトを入力する場合には特定された利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認すること、本人の同意なく個人データを入力し応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合には法に違反する可能性があることを示しました(生成AIサービスの利用に関する注意喚起等|個人情報保護委員会)。一般消費者向けのLIFULL「AIホームズくんBETA LINE版」も、留意事項でチャット内に個人情報を入力しないよう求めています(AIホームズくん|LIFULL HOME’S FRIENDLY DOOR)。実務では、①貼り付ける前に氏名・電話番号・メールアドレス・勤務先を削除する、②入力内容が学習に使われない設定かを公式情報で確認する、③削除が面倒ならトーク履歴を貼らず条件だけを箇条書きで入力する、の3点を社内ルールに落としてください。

5-4. 個人のLINEアカウントで顧客対応を続けない 担当者の個人アカウントで顧客とつながる運用は、いまも各社に残っています。実際、不動産の現場で横行する個人LINEでのやり取りを解析し、会社の資産として可視化するAIツールも登場しました(DiSAのnote)。裏を返せば、それだけ属人化が進んでいる状況といえます。個人アカウントのままAI活用を進めると、①担当者が退職するとやり取りの履歴ごと引き継げない、②会社として送信内容を確認できず広告表示や勧誘の適否をチェックできない、③顧客の連絡先が個人の端末に残り会社の管理が及ばない、といった問題が起きます。汎用AIで文面を作る段階では個人アカウントのままでも支障はありませんが、自動応答へ進む前に公式アカウントへの一本化を決めてください。

6. 不動産のLINE AI活用でよくある質問

Q. AIが対応していることを、お客さまに伝える必要はありますか。

A. 法律上の明確な義務はないものの、冒頭で伝える運用をおすすめします。自動応答であると分かっていれば、答えられない質問が返ってきたときの不満が小さくなります。「担当者につなぐ」の案内を併せて出しておくと、切り替えもスムーズになります。

Q. 無料のLINE公式アカウントでもAIと連携できますか。

A. 連携の可否は、利用するツール側の仕様で決まります。あわせて確認したいのが月あたりの無料メッセージ通数です。自動応答は1件の対応で複数通を送るため、想定より早く上限に達する場合があります。運用開始前に、直近の対応件数から必要通数を試算してください(※2026年10月時点の情報です)。

Q. 業者間のLINEグループに、AIで作った物件紹介文を流しても良いですか。

A. 紹介文の作成にAIを使うことは問題ありません。ただし、指定流通機構から取得した情報をそのまま社外へ流す行為は、利用規約上の制限に触れる可能性があります。AIに渡す前に、自社が外部へ提供して良い情報かを確認してください。

Q. 外国語での問い合わせにAIで対応しても良いですか。

A. 一次対応の範囲であれば有効です。多言語対応は生成AIが得意とする領域といえます。ただし、契約条件や重要事項に関わる説明は翻訳の精度に依存させず、通訳を介した対面またはオンラインでの説明に切り替えてください。

7. まとめ

まずは直近の反響1件で、2章の指示文をコピーして初回返信を作ってみてください。1件通せば、2件目からは手早く仕上がります。

【本記事のご利用にあたって】

AIが作成した文面を業務で使用する際は、宅地建物取引業法や景品表示法に抵触する表現がないか、宅地建物取引士など有資格者による最終確認をお願いいたします。入居審査の可否・重要事項説明・将来の資産価値や家賃の見通し・心理的瑕疵の有無は、AIに答えさせず人が対応してください。重要事項説明はIT重説の要件を満たす環境で宅地建物取引士が行い、LINEのテキストでは完結しません。トーク履歴をAIに入力する前に個人情報を削除し、学習に使われない設定でご利用ください。レインズから取得した情報は利用規程の範囲でお使いください。AIの機能・料金やLINEの仕様は変更されることが多いため、公開前に公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事はAI活用の実務的な解説を目的とし、法的アドバイスを提供するものではありません。

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この記事を書いた人

藤田 遼(株式会社WIG 代表/宅地建物取引士)
不動産業界での実務経験をもとに、現場でそのまま使える生成AIの活用法を研究・発信。「今日からコピペで使える」を合言葉に、不動産特化のAIノウハウを届けています。