内見同行の資料をAIで作成|比較表と質問リストの作り方

内見同行の資料は、ヒアリングで聞いた内容をAIに貼り付けると、顧客ごとに項目が変わる比較表と質問リストとして出力できます。配布されているテンプレートを使い回すより、当日の会話にかみ合う1枚が短時間で用意できるためです。この記事では物件比較表、当日の質問リスト、内見後のふり返りメモの3点について、コピペ用のプロンプトと埋め方の手順を解説します。明日の内見からそのまま使える形でお渡しします。

会社にある比較シートのExcelは全顧客共通の項目で固定されていて、当日の会話とかみ合わない。かといって顧客ごとに項目を作り直す時間はなく、印刷しただけで当日を迎えている——。この記事は、ヒアリングで聞いた言葉を貼り付けると、その顧客専用の比較表と質問リストが出る手順を、コピペ用プロンプト3本でお渡しします。

内見同行の資料をAIで作成するイメージ図。物件比較表・質問リスト・内見後のメモの3点を、AIで効率的に作成できることを示している。
内見同行で用意する3点(物件比較表・質問リスト・内見後のメモ)をAIで作る

この記事で分かること

・ヒアリング内容から「顧客ごとに項目が変わる」物件比較表を作るプロンプト
・当日手に持つ質問リスト(記録欄つき)と、内見後のふり返りメモを作るプロンプト
・徒歩分数・周辺施設・将来の見通しをAIに書かせない理由(表示規約・宅建業法)と、社内の型にする方法

1. 資料①物件比較表をAIで作成する

内見同行で用意する資料は、物件比較表、当日の質問リスト、内見後のふり返りメモの3点です。1点目の物件比較表は、ヒアリングで聞いた内容をそのままAIに貼り付けて作ります。項目の設計をAIに任せ、徒歩分数などの数値は担当者が埋める形にすると、顧客ごとに中身の変わる1枚が短時間でそろいます。

1-1. 【コピペ用】ヒアリング内容から比較表を作る指示文 面談やメールで聞いた要望を、加工せずに貼り付けるところから始めます。要約してから渡すと、担当者がすでに拾えている項目しか返ってきません。言い回しの強弱まで含めて渡すほうが、優先順位の判断材料が残ります。

あなたは不動産仲介の営業担当者を支援する立場です。以下のヒアリング内容と内見予定の物件をもとに、内見同行で使う物件比較表を作成してください。

【顧客のヒアリング内容】
(面談やメールで聞いた要望を、聞いた言葉のまま貼り付け)

【内見予定の物件】
物件A・物件B・物件Cの呼び名(個人が特定される情報は入れない)

【出力形式】
「比較項目/優先順位(高・中・低)/物件A/物件B/物件C/確認方法/備考」の7列の表

【条件】
・比較項目は12行以内にまとめる
・徒歩分数、面積、賃料、築年数などの数値は、すべて空欄にして「(要確認)」と記載する
・周辺施設の名称は書かず、確認方法の列に調べ方だけを書く
・優先順位は、ヒアリング内容に出てきた回数と語調から判断し、根拠を備考に1行で書く
・要望が抽象的な項目は、比較できる形に分解してから項目にする
・将来の資産価値や再開発の見通しに関する項目は入れない

もう一歩良くなるコツ(1-1)

要望は要約せず会話のまま貼る(言い回しの強さが優先順位の判断材料になる)/確認方法の列を必ず出させる(誰が何で確かめるかが決まり、空欄が放置されない)/物件は記号で呼ぶ(住所や顧客名を入力せずに表が作れる)。出力を印刷し、数値の欄を物件資料から埋めれば1枚目がそろいます。

1-2. 顧客の言葉を比較項目に翻訳させる 「静かなところが良い」という要望には、道路からの距離・隣室との接し方・周辺の用途地域といった複数の要素が含まれます。要望を分解し、物件ごとに比べられる項目に置き換える作業をAIに任せると、抜けが減ります。配布シートとの違いはここで、既成のテンプレは全顧客に同じ項目が並びますが、AIの出力は顧客ごとに項目そのものが変わります(共働き世帯なら通勤の乗り換え回数が上位に、子育て世帯なら通学路の安全性が入る)。

1-3. 数値と施設名は「(要確認)」で出力させる AIが埋めた数字を後から検算する作業より、最初から空欄を埋めるほうが早く終わり、誤りを見落とすリスクも消えます。「(要確認)」の欄が残っていると現地で確認する動機が生まれ、お客さまの目の前でメジャーを当てて記入する場面は説明の信頼にもつながります。物件資料から転記できる項目を前日までに埋め、現地でしか分からない項目だけを残すと当日が軽くなります(なぜ数値と施設名だけを外すのかは4章で解説)。

2. 資料②当日の質問リストをAIで作成する

2点目は、当日に手に持つ質問リストです。質問と記録欄を横に並べた1枚として作ると、聞いた直後にその場で書き留められます。物件の概要と顧客の状況をAIに渡せば、場面ごとに並んだ一覧が返ってきます。

質問リストのイメージ図。当日のヒアリングをもとに、顧客に合わせた質問を作成できる(顧客ごとに内容を調整/ヒアリングの抜け漏れを防止/営業の準備時間を短縮)。サンプル質問は、ご希望のエリアはどのあたりか/通勤・通学で重視する駅はあるか/ご希望の間取り・広さ/予算の上限/いつ頃までに入居・購入を考えているか、など。
顧客に合わせた質問を作成(記録欄つきで当日そのまま使える)

2-1. 【コピペ用】質問と記録欄を1枚にする指示文 質問リストと記録用紙を別々に持つと、書き込む先を探す時間が生まれます。1枚にまとめて、列名まで指定し、印刷してそのまま使える形にしましょう。

以下の物件概要と顧客の状況をもとに、内見当日に使う質問リストと記録欄を1枚にまとめて作成してください。

【物件概要】
種別(賃貸・売買)/間取り/階数/築年数の区分/設備の特徴

【顧客の状況】
世帯構成/現在の住まいで困っていること/内見の回数

【出力形式】
「確認する場面/質問文/回答の記録欄/その場で答えられない場合の対応」の4列の表

【条件】
・場面は「玄関・水回り・居室・収納・共用部・建物の周囲」の6つに分ける
・1つの場面につき質問は2つまでにする
・同意を求める形の質問文にせず、事実や感じ方を尋ねる形にする
・回答の記録欄は空欄にし、書き込む欄であることが分かる幅で示す
・その場で答えられない質問には「持ち帰り」と記載し、確認先を1行添える
・将来の環境や利便性の変化に触れる質問は入れない
・物件を高く評価させる方向に誘導する表現を使わない

もう一歩良くなるコツ(2-1)

「持ち帰り」の欄を用意する(その場で答えられない質問を無理に答えず、確認して連絡する流れが作れる)/場面の順序を実際の動線に合わせる(玄関から順に並べると資料を見ながら案内できる)/1章の比較表を一緒に貼る(優先順位が高い項目から質問が並ぶ)。

2-2. 場面ごとに質問を2つまで絞る 案内しながら読み上げられるのは1場面につき2つ程度です。上限を決めるとAIが優先度の高い質問だけを残します。内見で拾いたいのは事前ヒアリングに出てこなかった条件(実際の部屋を見て「玄関が狭い」「洗濯機の音が気になる」と気づく反応)。誘導を避け、事実を尋ねる形に寄せると記録として使える回答が集まります。

2-3. 記録欄を先に作ると聞き漏らしが減る 空欄が並ぶ資料には埋めたくなる力が働き、内見を終えた時点で空欄が残っていればその場で聞き直せます。記録の粒度も決めておきましょう。「収納が狭い」よりも「寝室のクローゼットを開けて収納が狭いと発言」のほうが次の提案につながり、担当者交代や店長の同行確認でも共通の記録として機能します。

3. 資料③ふり返りメモをAIで作成する

3点目は、内見が終わったあとに作るふり返りのメモです。当日中に整えておくと、記憶が新しいうちに検討状況が形になります。走り書きのメモをAIに渡し、読める形に直す工程だけを任せましょう。

内見後のメモのイメージ図。内見の振り返りを整理し、次のアクションにつなげられる(感想や印象を整理/比較検討のポイントを明確化/追客のアクションにつなげる)。メモ様式は、良かった点/気になった点/次のアクションの欄で構成されている。
走り書きを整形し、次のアクションにつなげる(整形だけをAIに任せる)

3-1. 【コピペ用】走り書きのメモを整理する指示文 内見中に書いた文字は断片のまま残り、翌日に読み返すと意味をたどるのに時間がかかります。当日中に整理すれば、お客さまへの連絡も社内共有も短時間で終わります。

以下の内見時のメモを、検討状況の整理として読める形にまとめてください。

【内見時のメモ】
(走り書きのまま貼り付け。氏名は「A様」などに置き換える)

【内見した物件】
物件A・物件B(呼び名のみ)

【出力形式】
「気に入った点/気になった点/未確認の事項/次に提案する条件の変化/社内共有メモ(3行以内)」の5項目

【条件】
・メモに書かれていない内容を補わない
・メモから読み取った解釈を書く場合は、文末に「(推測)」と付ける
・未確認の事項には、確認する担当と期限の欄を空欄で添える
・物件の評価を断定する表現を使わない
・将来の価格や環境の見通しに触れない
・顧客の氏名や連絡先が残っていれば、置き換えたうえで指摘する

もう一歩良くなるコツ(3-1)

「(推測)」を付けさせる(事実と解釈が分かれ、次の担当者が読んでも誤解しない)/気に入った点から並べさせる(当日中の連絡文にそのまま転用できる)/2章の記録欄ごと貼る(質問と回答の対応が残り、整理の精度が上がる)。

3-2. 事実と推測を分けて出力させる AIに任せるのはあくまで整形です。メモに書かれていない内容を補わせると事実と推測が混ざるため、禁止事項として明記します。「収納が足りない」と言われた事実と、「間取りより収納量を優先している」という解釈は扱いが異なります(前者は次の物件選びの条件、後者は次の面談で確かめる仮説)。「(推測)」の3文字があるだけで、引き継いだ相手の判断が変わります。

3-3. 当日中に整えると次の提案が早くなる 整理を翌日に回すと再内見の日程調整が1日ずれます。検討が進んでいるお客さまほど他社の案内も並行して受けているため、当日中に条件の変化を確定させておけば翌朝には次の物件を出せます。未確認の事項に担当と期限を入れておくと「管理費の内訳を確認」とだけ書かれて誰も動かない状態を防げます。整理したメモは個人フォルダでなく共有の場所に置きましょう。

4. 内見同行の資料でAIに書かせない3項目

1章から3章のプロンプトには、共通する条件行が入っていました。徒歩分数などの数値を空欄にする指示、周辺施設の名称を書かせない指示、将来の見通しに触れさせない指示の3つです。この3項目を外す理由は、内見で渡す資料と口頭の説明が、不動産の表示に関する公正競争規約でいう「表示」に当たりうる点にあります。規約は「表示」を、顧客を誘引するための手段として物件の内容や取引条件について行う広告その他の表示と定め、対象媒体にはチラシ・パンフレット・説明書面や口頭による広告表示が挙げられています。なお表示規約は、不動産業界の公正取引協議会による自主規制ルールで、会員事業者には遵守が求められます(参考:不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則。※本章の規約・法令は2026年9月時点)。

内見同行の資料でAIに書かせない3項目の図。内見で渡す資料と口頭の説明は不動産の表示に関する公正競争規約でいう「表示」に当たりうるため、特定の情報はAIに書かせない。①徒歩分数は道路距離80メートルにつき1分で算出する(AIは道路距離を実測できずプロンプト側で空欄にする。表示規約の基準:道路距離80mにつき1分、1分未満の端数は1分)。②周辺施設は現に利用できるものだけを載せる(開業・閉店の状況を確認できない。学校・病院・公園などは現に利用できるものを道路距離と施設名を明示。「スーパーが近い」でなく「〇〇店まで道路距離約400m」と書く)。③将来の環境や利便性を断定する記述は入れない(根拠となる法令=宅地建物取引業法施行規則第16条の12・契約締結の勧誘に際して禁止される行為)。「再開発でさらに便利に」「今後ますます発展する」「近い将来、駅ができる」はNG。
徒歩分数・周辺施設名・将来の見通しの3項目はAIに書かせない(規約・宅建業法の根拠つき)

4-1. 徒歩分数は道路距離80メートルにつき1分で算出する AIは道路距離を実測できないため、徒歩分数を埋めさせると実際とずれた資料ができます。表示規約の施行規則は、徒歩による所要時間を道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出し、1分未満の端数が生じたときは1分として算出すると定めています。地図アプリの表示をそのまま転記するとこの基準とずれる場合があるため、物件資料の分数を使うか道路距離から自分で計算するか運用を決めましょう(参考:同施行規則)。

4-2. 周辺施設は現に利用できるものだけを載せる 店舗の開業・閉店の状況をAIは確認できず、閉店した店舗が資料に載る事故が起こります。学校・病院・公園などの公共・公益施設は、現に利用できるものを、物件までの道路距離と施設の名称を明示して表示すると規定されています(商業施設も同様に道路距離を明示)。「スーパーが近い」ではなく「〇〇店まで道路距離約400メートル」と書けば根拠のある情報として伝わり、確認できていない項目は「当日ご一緒に確認します」と記載しておきましょう。

4-3. 将来の環境や利便性を断定する記述は入れない 宅地建物取引業法施行規則第16条の12は、契約締結の勧誘に際して禁止される行為として、物件の将来の環境または交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供する行為を挙げています。AIに物件の魅力を書かせると、再開発による利便性の向上を確定した事実のように述べる文章が出やすくなります。内見同行はまさに勧誘の場面であり、その場で配る資料にこうした一文が混ざる状態は避けたいところです。自社のルールに条件を足す場合も、この1行は残しておきましょう(参考:宅地建物取引業法施行規則)。

5. 資料づくりをAI前提の型にする

3本のプロンプトは、1回使って終わりにするより、社内の型として回すほうが効果が出ます。出力を蓄積し、次の入力に戻す流れを作ると、使うほど資料の水準が上がります。

5-1. 3点の資料を毎回同じ形でそろえる

物件比較表・質問リスト・ふり返りメモの3点を固定し、同じ順序で用意する状態を作ります。保存の形式もそろえ、物件の呼び名・内見日・担当者名を先頭に置く形で統一すると探しやすくなります。前回の記録が残っていれば、比較表の項目づくりから始める必要がなくなります。3点以外の資料は必要が生じたときに足せば十分で、持ち物を増やすほど当日は使われなくなります。

5-2. 有効だった質問文をプロンプトに戻す

実際に良い反応が返ってきた質問文を社内に残し、2章のプロンプトに「過去に有効だった質問文」として貼り付けると出力の水準が上がります。蓄積の単位は物件の種別や世帯構成でそろえると使いやすく(単身向けとファミリー向けは別物)、四半期に1度ほど見直すと古い質問が残りません。

5-3. 新人の同行前チェックに使う

出力された3点は同行前の確認材料にもなります。比較表の項目が一般的な内容ばかりなら面談の掘り下げが足りず、質問リストが物件の特徴とかみ合っていなければ物件資料の読み込みが浅い状態です。新人が同じプロンプトを使えば資料の形はそろい、差が出るのは入力するヒアリング内容のほう。育成の焦点もそこに絞れます。

6. よくある質問(Q&A)

Q. 会社で使っている物件比較シートのExcelがあります。作り直す必要はありますか?

A. 既存のシートを土台にして、項目だけを差し替える使い方をおすすめします。1章のプロンプトに現在のシートの項目を貼り付け、「この項目を土台に、ヒアリング内容に合わせて過不足を調整してください」と1行足してください。社内の書式を保ったまま顧客ごとの個別化ができ、書式が承認済みの会社では導入が早く進みます。

Q. 顧客の氏名や連絡先をAIに入力しても問題ありませんか?

A. 置き換えたうえで入力する運用をおすすめします。内見の資料づくりでは氏名や連絡先そのものが必要になる場面はほとんどなく、「A様」「B社勤務」といった形に変えても比較項目の設計や質問文の作成に影響しません。入力データの取り扱いは利用するサービスや契約プランによって異なるため、公式サイトで確認しておきましょう(※2026年9月時点の情報です)。

Q. 資料は紙とタブレットのどちらで持つのが良いですか?

A. 書き込む量で選ぶと迷いません。記録欄に手書きする場面が多い場合は紙が扱いやすく、写真や図面を見せながら説明する場面が多い場合はタブレットが向いています。両方を持ち、比較表と質問リストだけを紙にする形も選択肢です。お客さまの年齢層や当日の天候によっても使いやすさは変わります。

Q. 比較シートの項目はどうやって決めればいいですか?

A. ヒアリングで出た要望を「比較できる単位」に分解してから項目にします。「静かな部屋」なら道路からの距離・隣室との接し方・用途地域に分け、AIに分解させると抜けが減ります。項目数は12行以内に絞り、優先順位(高・中・低)を必ず付けると当日の会話で何から確認するかが決まります。

7. まとめ

内見の準備で時間がかかるのは、印刷ではなく項目を考える工程です。その部分をAIに渡し、事実の確認は手元に残す形にすると、準備は短くなりながら説明の質は保てます。まずは次の内見1件分で、比較表を1枚作るところから試してみてください。

【本記事のご利用にあたって】

内見同行で渡す資料や口頭の説明は、不動産の表示に関する公正競争規約や宅地建物取引業法の対象になりうるため、掲載・説明の前に宅地建物取引士など有資格者による確認をお願いします。徒歩分数・周辺施設・将来の見通しの表現は特に注意し、根拠のない断定を避けてください。お客さまの個人情報は仮名化のうえご利用ください。本記事はAI活用の実務的な解説を目的とし、法的アドバイスを提供するものではありません。

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この記事を書いた人

藤田 遼(株式会社WIG 代表/宅地建物取引士)
不動産業界での実務経験をもとに、現場でそのまま使える生成AIの活用法を研究・発信。「今日からコピペで使える」を合言葉に、不動産特化のAIノウハウを届けています。