# 不動産の勤怠・経費精算 × AI 線引きチェックリスト # ── 直行直帰の多い不動産の現場で、「AIに任せてよいこと」と「人がやること」を分けるための確認表です。 # # 出典: # 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定) # https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf # 労働基準法 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 # 労働安全衛生法 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057 # 国税庁「電子帳簿保存法(スキャナ保存)適用要件」 # https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07scan/02.htm # 国税庁「少額特例の概要」 # https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/02.htm # # ※ 本資料は一般的な整理です。個別の判断は社会保険労務士・税理士や所轄の労働基準監督署・税務署にご確認ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 1. 勤怠:まず自社の状況を確認する ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 直行直帰の日の始業・終業時刻を、どうやって確認・記録しているか □ 記録の方法は、次のどちらか(ガイドライン4(2)) ア 使用者が自ら現認して記録 イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として記録 □ 自己申告制に頼っている場合、次の措置を取っているか(ガイドライン4(3)) □ 対象者に、実態を正しく記録し適正に申告するよう十分な説明をしている □ 労働時間を管理する者にも、適正な運用について十分な説明をしている □ 申告と実態に乖離がないか、必要に応じて実態調査をして補正している □ 申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置がない □ 時間外労働手当の定額払などが、適正な申告を妨げる要因になっていないか確認している □ 事業場外みなし労働時間制を使っている場合、その適用範囲を説明できるか ※ みなしが適用される時間は上記ガイドラインの対象外ですが、 面接指導のための「労働時間の状況の把握」は別途必要です(労働安全衛生法66条の8の3) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 2. 記録の保存 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 賃金台帳に、労働日数・労働時間数・休日労働時間数・時間外労働時間数・深夜労働時間数を記入しているか (労働基準法108条/同法施行規則54条。記入していない、または虚偽の記入は 同法120条により30万円以下の罰金) □ 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿やタイムカード等を保存しているか (労働基準法109条は5年間。附則143条により当分の間3年間) □ 労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存しているか (労働安全衛生規則52条の7の3第2項) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 3. AIに任せてよいこと/人がやること ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【AIに任せてよい】 □ 日報・行動記録から、勤怠入力のたたき台を作る □ 打刻漏れ・未入力の洗い出し(「◯日が未入力です」の指摘) □ 経費の内容から、勘定科目の候補を挙げる □ 交通費の経路と金額の整理(出発地・到着地の一覧化) □ 申請内容の不備チェック(日付・金額・宛名の抜け) 【人がやる】 □ 労働時間として扱うかどうかの判断 □ 自己申告と実態の乖離の確認と補正 □ 勤怠記録・賃金台帳の確定と保存 □ 経費の承認と、税務上の取扱いの判断 □ 領収書の原本の取扱い(保存方法の決定) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 4. 経費:領収書をAIで読み取るときの確認 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ スキャナ保存の要件を満たしているか(国税庁) □ 解像度200dpi以上(A4サイズで約387万画素相当) □ 赤・緑・青それぞれ256階調以上(原則カラー) □ タイムスタンプ等の要件、検索機能の確保 ※ AIが読み取った「テキストデータ」だけを残して、画像を捨てていないか □ インボイス(適格請求書)の記載事項を確認しているか □ 少額特例を使う場合、対象か確認しているか(国税庁) □ 基準期間の課税売上高1億円以下(または特定期間の課税売上高5,000万円以下) □ 税込1万円未満の課税仕入れ(※1回の取引単位で判定。商品ごとではない) □ 適用期間は令和5年10月1日〜令和11年9月30日 □ AIの読み取り結果(金額・日付・取引先)を、人が原本と突き合わせているか □ ※少額特例は「消費税の仕入税額控除」の要件についての措置です。 法人税・所得税の計算に必要な書類の保存義務は別途残ります (インボイスが要らない=領収書を捨ててよい、ではありません) □ ※紙の領収書を紙のまま保存し続けるなら、スキャナ保存の要件はかかりません (要件が関わるのは、紙の原本を廃棄して電子データで保存する場合) ■ 4-2. 電子取引データの保存(令和6年1月〜)  メール添付のPDF領収書、Webの利用明細、ETC利用照会、キャッシュレス決済の電子領収書などは  「電子取引」に当たり、プリントアウトしても電子データを消さずに保存する必要があります。 □ 【可視性の確保】モニター・操作説明書等の備付け/検索要件の充足 ※「2課税年度前の売上高が5,000万円以下」または「プリントアウトして日付・取引先ごとに整理」 している場合は、ダウンロードの求めに応じられるようにしていれば検索要件は不要 □ 【真実性の確保】不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を制定し、遵守する (サンプルは国税庁サイトに掲載。専用システムがなくても対応できます) □ 準備が間に合わない場合の猶予措置(①所轄税務署長が相当の理由があると認める場合 ②税務調査等の際にダウンロードの求めと出力書面の提示・提出に応じられる場合) → 電子取引データを保存しておくだけでよいとされています  参考:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」  https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm ■ 4-3. 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるもの(国税庁 No.6496) □ 1回の取引が税込3万円未満の公共交通機関による旅客の運送(電車・バス等) □ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当 □ 自動販売機・自動サービス機からの購入(税込3万円未満)  ※コインパーキング等は上記に当たらないため、領収書の記載事項を確認してください  参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6496.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 5. AIに入力しないもの ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 従業員の氏名・住所・マイナンバー・口座情報 □ 取引先の担当者名や連絡先 ※ 集計や不備チェックに個人名は不要です。社員コード・取引先コードに置き換えてください。